【プレサンス元社長冤罪事件】山岸忍氏のコメント(3月29日)

プレサンス元社長冤罪事件

2022年3月29日、プレサンス元社長冤罪事件に関し、山岸忍氏は刑事告発、検察官適格審査会審査申立、国家賠償請求訴訟の提起を行いました。報道機関に公表した山岸氏のコメントは以下のとおりです。

プレサンス元社長冤罪事件について

 無罪判決から5ヶ月が経ちました。私は、冤罪で逮捕され、創業したプレサンスや、これからプレサンスでたくさんマンションを建てて人を幸せにしたいという夢を奪われました。現在は前向きに新しい人生を過ごしておりますが、私がお会いした検察官の方々の印象では、きっとこのまま変わらず、また再び冤罪事件が起きてしまうのではないかと危惧しております。私は、刑事裁判とは真実を明らかにする場で、検察官は公益の代表者としてその真実を追求する仕事だと思っていました。しかし、今回の冤罪事件を通じて、検察は真実を明らかにしたいのではなく、有罪だと思った人物を裁判で有罪にするために手段を選ばない組織であることを身をもって体験することになりました。今回の私の逮捕は、大阪地検特捜部が私の共犯者とされた小林氏・山下氏の供述を取り調べでねじ曲げたことが原因です。私ははじめて彼らの供述調書を見たとき、なぜこのような嘘をつくのだろうと人間不信になりました。その後、弁護人に取調べの録音録画を反訳してもらい、彼らが嘘をついた理由がようやくわかりました。大阪地検特捜部は、私の無実を裏付ける供述をしている彼らの話は全く取り合わず、調書にも残さず、威迫や利益誘導によって自分たちのストーリーを押し付けていたのです。大阪地検特捜部は、私が「罪証隠滅」に及ぶおそれが高いなどとして保釈に反対し続けていましたが、「罪証隠滅」をしていたのは大阪地検特捜部の方でした。一般人が同じことをすれば逮捕されてしまうようなことを、国家権力が平然と行っていたのです。刑事裁判の後に、厚労省元局長無罪事件を契機に作られた「検察の理念」を読みました。しかし、「検察の理念」に書かれていることとは正反対のことが今回の事件では行われていました。また、無罪判決後の報道で、検察幹部が「組織としての意識改革もやっているし、変えようとしている最中なのは間違いない」と述べていたことも知り、私は愕然としました。幹部がこのような考えだから検察は変わらないのだと思います。そもそも公益の代表者であり、人の人生を左右する仕事ですので、努力目標で足りるものではなく、間違いを犯してはいけないものだと、私は思います。検察組織は厚労省元局長無罪事件から全く変わっておりませんし、そもそも組織を変えようとしているということで冤罪が正当化されるものではありません。民間企業では何か不祥事があれば再発防止対策が取られるのは当然のことですが、検察庁は謝罪はおろか検証作業も行っておりません。今回の冤罪を生みだした検察官個人の功名心や保身の心、途中で踏みとどまって方針を変更できなかった検察組織体制は正されるべきであり、正されなければまた冤罪が生まれてしまいます。私が国家賠償請求訴訟や刑事告発に至ったのは、このような思いから、もう二度と冤罪を生まないようにするためです。

令和4年3月25日

山岸 忍

20220325山岸忍氏コメント(PDF)

山岸氏は、本件の目的に関して、「(賠償金額について問われて)お金が欲しいのではありません。」「(訴訟の目的について問われて)二度とこのような事件を起こしてほしくないんです。」と記者会見で述べておられました。

このような山岸氏の意思を誤解なく伝えるため、御本人の了解も得たうえ、コメントをネットにおいても公開することにいたしました。

本件は、いわゆる証拠不十分に基づくグレーな無罪などではなく、まさに無実の冤罪事件です。

判決書(大阪地判令和3年10月28日)においても、無実を裏付ける3月17日付スキーム書面等の客観的証拠をもとに、「基本的には学校法人bへの貸付である,あるいは最終的に学校法人bに債務を負担させる資金であるなどと説明されていたことがうかがわれる」と認定され、検察官からの控訴なく無罪判決が確定しました。

関係諸機関におかれましては、山岸氏の冤罪被害救済と再発防止について、適正に対処されることを望みます。

投稿者プロフィール

西愛礼
西愛礼
2016年千葉地方裁判所判事補任官、裁判員裁判の左陪席を担当。2021年依願退官後、しんゆう法律事務所において弁護士として稼働。冤罪の研究及び救済活動に従事。イノセンスプロジェクトジャパン運営委員。日本刑法学会、法と心理学会所属。