世界中の冤罪救済団体から構成されるイノセンス・ネットワークの国際会議に、しんゆう法律事務所から秋田真志、西愛礼、湯浅彩香の3名が出席しました。
今からアメリカに行ってきます!🇺🇸✈️世界中の冤罪救済団体イノセンス・プロジェクトから構成される"イノセンス・ネットワーク"の年次大会に参加するためです。世界中の冤罪に関する知見や情報に触れてきます🙂とても楽しみ! pic.twitter.com/wJ9vDV8j10
— 弁護士西愛礼@元裁判官 (@YoshiyukiNishi_) April 10, 2023
この国際会議の開会式が特に印象的でした。
冤罪救済の国際会議にて、53年間服役後に釈放された冤罪犠牲者を労うスタンディングオベーションが鳴り止まない。#innocenceconference pic.twitter.com/pxygYWnvn9
— 弁護士西愛礼@元裁判官 (@YoshiyukiNishi_) April 14, 2023
会場でみんな立ち上がり、ずっと拍手を送っていました。感極まって思わず隣の人とハグをする人や、すすり泣く音も聞こえました。
2日間を通し様々な講演やディスカッションが行われました。我々は、ストーリーテリングの講習、各国の冤罪救済の現状と課題、科学的証拠や法医学に関するセクションなどを聴講しました。
弊所からも、秋田真志弁護士が揺さぶられっ子症候群の冤罪事件について報告しました。
秋田真志弁護士と笹倉香奈教授が共同代表を務めるSBS検証プロジェクトの尽力もあり、海外の知見の多くはお二人の論文にまとめられていることが分かりました。揺さぶられっ子症候群に関する一般的な問題に関しては秋田真志弁護士らが編者となった「赤ちゃんの虐待えん罪: SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する! 」が2023年4月18日に出版されますので、こちらもぜひご参照ください。
その他の分野に関しても、最先端の報告が多々ありました。例えば、指紋鑑定の誤りによる冤罪事件の紹介がされており、一般に思われているより指紋鑑定にもあい路があるのではないかという問題提起や、”死因”(cause)と”死に方”(manner)は異なるところ、その判断領域の区分やバイアスのリスクについて注意しなければならないということなどは示唆に富んでいました。
法医学のセッション。死因(失血死、心臓発作等)と死に方(他殺/自殺、刺殺等)は異なり、科学が直接的に判断するのは死因で、死に方に関する情報が入るとそれがバイアスとなり判断を誤るおそれがあるとのこと。日本でもこのあたりはもっと意識されるべきことだと思います。#innocenceconference pic.twitter.com/XzV072JAiu
— 弁護士西愛礼@元裁判官 (@YoshiyukiNishi_) April 15, 2023
単に勉強になるだけでなく、良い刺激を受けることができ、また世界中で冤罪問題に尽力している人がいることが分かってとても心強く感じました。講師や冤罪被害者の方はよく「次はあなたの番です」と言い、会場が沸きあがり、これからも頑張ろうと気持ちを新たにしました。
今回は弁護士5名と研究者1名が参加しましたが、日本全国からもっと参加者が増え、裁判官や検察官からの参加者も出ると良いなと思いました。
投稿者プロフィール

- 2016年千葉地方裁判所判事補任官、裁判員裁判の左陪席を担当。2021年依願退官後、しんゆう法律事務所において弁護士として稼働。冤罪の研究及び救済活動に従事。イノセンスプロジェクトジャパン運営委員。日本刑法学会、法と心理学会所属。
最新の投稿
冤罪2023年9月15日ヨーロッパの冤罪
冤罪2023年9月12日『冤罪学』の出版について
刑事弁護2023年7月26日「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」Tシャツの着用を裁判所は制限できるか
刑事弁護2023年7月6日東京法廷技術アカデミー(TATA)の「鬼の5日間」体験記