『負けへんで』が出版されました
私と秋田真志弁護士が弁護団の一員として担当したプレサンス元社長冤罪事件について、元被告人の山岸忍氏が体験記として『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』を出版されました。
私達の担当したプレサンス元社長冤罪事件の山岸忍さんによる体験記・『負けへんで 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』が本日販売開始となりました。どうぞよろしくお願いします!https://t.co/lK6WPX9RKi
— 弁護士西愛礼@元裁判官 (@YoshiyukiNishi_) April 11, 2023
あらすじ
検察は正義ではなかった
無実の罪によって逮捕され、創業した会社を失い、248日間にわたり勾留された男が、完全無罪を勝ち取るまでの全記録。●プレサンス元社長冤罪事件とは?
2019年12月、大阪の不動産ディベロッパー、プレサンスコーポレーションの山岸忍社長は、業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、以後248日間にわたり勾留された。しかし特捜部の捜査はずさん極まりないもので、一審で無罪。大阪地検が控訴を断念するほどの「完勝」だった。検察の見立てはまったくの誤りで、ここまでひどい捜査は珍しく、第2の村木事件と称される冤罪事件となった。●上場企業の社長が逮捕されたとき、何が起きる?
プレサンスコーポレーションは東証一部上場、売上2000億円企業だった。その創業社長が逮捕された影響はすさまじかった。株価は急落し金融機関は資金をストップ。瞬く間に会社は危機に陥った。打てる手は自分の辞任のみ――山岸氏は拘置所の中から辞任届を提出。さらにライバル企業のトップと拘置所の面会室で会い、上場企業の売却を進めたのだった。●録音・録画が明かした密室の取調べ
本書は事件の発端から、山岸氏と、元検事・元判事・刑事弁護の専門家・企業法務の専門家などの最強弁護団が完全無罪を勝ち取るまでを、描出するものだ。特に、大阪地検の証拠捏造事件の結果導入された可視化策により、録音・録画された検事の取調べの様子を、膨大な努力によって解析したことは大きかった。法廷で、初めて密室での検事の取り調べの模様が明らかになったのは画期的だった。そこでは罵倒、恫喝、脅迫まがいの取り調べが堂々と行われていたのだった。(Amazon商品ページより引用)
売れ行きと感想
発売直前には、大阪地方裁判所が取調官の言動について特別公務員暴行陵虐罪の嫌疑を認めて話題になりました(詳細は「裁判所が田渕大輔検察官による「陵虐」行為を認定ー検察官が犯罪しても不起訴か?」参照)。
同書籍は話題を呼んで発売前から増刷が決定し、発売直後からAmazon新着ランキング1位(法律、社会・政治)、ジュンク堂書店難波店ランキング1位(政治・経済・法律、4/19~15)と好評発売中です。
SNS上では各界から次のような感想がありました。
まだ全部読めてないけど、読めば読むほど引き込まれる。
この本面白すぎるんやが。 pic.twitter.com/WKHtqIlfKs— 🏇ハヨセナ🎹 (@chopitarou) April 12, 2023
【全国民必読!】プレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏による迫真の書《負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部》https://t.co/g22rAioLie 検察不祥事への反省も全くなく、山岸氏への冤罪に突き進んだ大阪地検特捜部の「不当かつ異常な捜査」の実態が生々しく描かれている。
— 郷原信郎【長いものには巻かれない・権力と戦う弁護士】 (@nobuogohara) April 13, 2023
宇宙人のエピソードも含め、非常に最高な本です。人質司法問題に興味のある方、必見です。 pic.twitter.com/ntMIk9JhXm
— 弁護士赤木竜太郎 (@akgryu) April 17, 2023
山岸忍さん著「負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部」読了。一気に読ませる文章力に感嘆。著者は横領の共犯どころか、詐欺の被害者では?と思いました。杜撰な捜査には読者でも腹が立ちましたが、特捜部の誰がが功名心に駆られて暴走したのではと思いました。検察、相変わらずですね(嘆息 pic.twitter.com/jK7wUezxG8
— 弁護士 市川 寛 (@imarockcaster42) April 17, 2023
山岸忍『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋、2023年)読み始めた。冤罪事件だから単に「めちゃくちゃおもしろい」っていうのは本来はばかられるけど、それにしてもおもしろい筆致でずんずん読ませる。
— みず (@mzn2m) April 15, 2023
話題の本、面白かった。昨夜は徹夜💦普段はビジネス書や自己啓発ばかりで小説や物語は読まないけど、これは全て事実なので説得力がある。正義感の強い人ほど戦慄が走るやろう。検察のやり口は想像以上に衝撃でした。そして山岸さん凄い‼️映画化希望🎬#負けへんで#プレサンス pic.twitter.com/GycllRd5YA
— K@借入金46.7億円(2社合計残高) (@tg_gsx) April 17, 2023
東京出張の際に購入して帰りの機内で読んだ。以下雑感
・可視化が違法取調べの抑止にはなってなかったが、今後の国賠に期待したい
・違法取調べに弁護人としてどう対応するべきか考えなければならない
・黙秘実践は重要だが難しい
・弁護団の反対尋問えぐい
・最後はマンパワーとそれを支える環境— 半田 望 (@Handalaw) April 15, 2023
プレサンスコーポレーション創業者で元社長の山岸さんの書籍、半分くらい読んだが学びがある。①ダメな社員によって組織が崩壊するので入社時のフィルターはどんな時でも緩くしてはいけない、②怪しい・反社のにおいが少しで疑われる人・案件とは一切関わってはいけない、その先にもっとやばい人達がい… pic.twitter.com/16eDhBOAiF
— 藤原正明@大和財託 不動産×建設会社(デベコン)の社長 (@fujiwaramasaaki) April 15, 2023
#読了
プレサンス元社長冤罪事件。
大阪地検特捜部によるでっち上げ逮捕起訴され、理不尽、不公正、恫喝の描写は読書中苦しくなるほど。筋を貫き通して戦い、無罪を勝ち取った山岸さんには心から讃えたい。
国賠訴訟の行方も見守りたい。 pic.twitter.com/ecf9zQHbZU— natural-nine (@hyperion8215) April 16, 2023
弁護人としてコメント
えん罪というと、まずはその凄惨さにスポットライトが当てられます。私自身、山岸さんが冤罪で苦しんでいるところを一番近いところから見ていたので、冤罪の恐怖が看過されてはならないと思っております。もっとも、先日アメリカのイノセンス・ネットワークの国際大会に出席した際、何十年も服役した人や死刑から生還した多くの方々が、その苦境に人生をつぶされて嘆くのではなく、胸を張って堂々と人生を楽しもうとする姿も目にしました。山岸さんもまさにその一人で、自身が「被害」に遭ったと後ろ向きになるのではなく、前向きに毎日を楽しく暮らされているそうです。この『負けへんで』という言葉にも、そんな山岸さんの前向きな姿勢が表れています。
そして、山岸さんと私は「もう二度とこのような事件を起こしたくない」という共通の願いを持っております。山岸さんはそのような想いをもとに体験記『負けへんで』を残し、私は法律家として冤罪原因の検証報告「冤罪の構図」を記しました。冤罪事件を防ぐため、一人でも多くの方に読んでいただくことを願っております。
投稿者プロフィール
- 2016年千葉地方裁判所判事補任官、裁判員裁判の左陪席を担当。2021年依願退官後、しんゆう法律事務所において弁護士として稼働。冤罪の研究及び救済活動に従事。イノセンスプロジェクトジャパン運営委員。日本刑法学会、法と心理学会所属。
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